高級ワーキングチェアの代名詞とも言えるアーロンチェアは、1994年にハーマンミラー社から販売され、その座り心地の良さや耐久性から多くの支持者を獲得してきました。
また、腰痛などの座ることにより生じる症状を緩和する効果があることから、デスクワークを中心とする人々からも圧倒的に支持されてきました。
今回は、3年間アーロンチェアに座り続けてきた筆者が、実際の座り心地や身体症状への効果についてレビューしていきたいと思います。
尚、アーロンチェアにはクラシックタイプ、リマスタードタイプが存在しますが、筆者はクラシックタイプを使用しています。
アーロンチェアを使ってみて、よかったところ
全身を包み込むクッション性能
アーロンチェアのペリクル(張り地)は弾力があり、腰掛けた瞬間に骨盤が深く沈み、体全体を優しく包み込むようなフィット感があります。
背もたれ部分は適度な弾力と反発が感じられ、少し後ろから腰を押し返されているような感覚があります。これにより、背もたれに腰をあずけても後ろに倒れこみすぎず、自然な姿勢をキープしてくれます。
フレームとペリクルのカラーは、深い黒色の「グラファイト」、やや明るめの「カーボン」、ホワイトに近い「ミネラル」がありますが、筆者はアーロンチェアの定番色ともいえる「グラファイト」を使用しています。
シックな色合いは飽きがこないデザインで、高級感が味わえます。
肘全体を優しく受け止めるアームパッド
アーロンチェアのアームパッドは他の高級チェアに比べても、かなりパッド部分が広めにできています。
これにより、アーム全体を確実にサポートし、デスクでのタイピング作業などの負担を軽減してくれます。
高級チェアの中にはアームパッド部分がスリムな作りのものも多く存在しますが、パッド部分が狭いと少しの作業で肘がパッドからずれ落ちたり、パッドの角に肘が当たって違和感を感じるなど、ストレスを感じる原因となります。
アーロンチェアの大きなアームパッドは、チェア全体に包容力をもたらす重要な役割を果たしているのです。
また、アームパッドは高さ調節に加え、水平方向に角度を調整することができます。角度は内側、正面、外側の3段階で調節でき、PCでの作業中などは内側に、リラックス時は外側に向けると良いでしょう。
モードに合わせて調節できるリクライニング・前傾チルト
アーロンチェアは、座る姿勢をリクライニング・前傾チルトに調節することができます。
クラシックタイプの姿勢調節には椅子左側の2本のレバーを使用します。前側のレバーを引き上げると前傾チルト状態となり、座りながら体全体が前かがみ倒れるようになります。
前傾チルトは作業に集中したときに適しており、筆者はデスクの上で文字を書いたり、細かな作業をする際に用いています。
リクライニングモードは、後ろ側のレバーを引き上げることで利用できます。リクライニングの段階は椅子右側部分のダイアルを回すことで深さを調節できます。筆者は作業に区切りがついた時などにリラックスするために利用しています。
チェア右側部分のレバーを引き上げると、椅子の高さ調節が可能です。腰を浮かせた状態だと椅子全体が持ち上がり、腰掛けた状態だと椅子が下がります。通常の高さ調節が可能な椅子と同じです。
背骨をサポートするポスチャーフィット機能
アーロンチェアの後ろ側にはポスチャーフィットという背骨をサポートする機能がついており、常に理想的な姿勢をキープしてくれます。
アーロンチェアは、背骨がS字を描くように背もたれ部分が前に出っ張っているのですが、ポスチャーフィット機能によってこの出っ張りの度合いを調節できるのです。
アーロンチェアに座り慣れてしまうとこのポスチャーフィットの恩恵を忘れていまいますが、他の椅子に座るとこの機能がいかに姿勢をサポートしてくれているのか実感できます。
筆者も長年腰痛に悩まされてきましたが、アーロンチェアを導入してからかなり症状が改善されました。
尚、リマスタード版ではサポート部分が仙骨と腰椎の2箇所に増えたポスチャーフィットSLに進化しています。
安心の12年保証
アーロンチェアの人気の理由のひとつとして、12年もの長期保証期間があることが挙げられます。
腰掛け部分や背もたれ部分の張り地のへたりやその他の劣化について、ハーマンミラーが修理やパーツ交換などのメンテナンスを行ってくれるのです。メンテナンス後は約1~2週間で自宅に返送されます。
高額で長期間使用する椅子だからこそ、このようなサポート体制の充実はユーザーとしては非常にありがたいものです。
注意が必要な点としては、ハーマンミラー正規代理店以外で購入したアーロンチェアは保証の対象外であることです。
アーロンチェアは、しばしばネット上で中古品として安値で売られていることがありますが、このような製品は当然対象外となります。
長く使うことを考えると、充実した保証が適用される正規代理店での購入を検討した方が良いかもしれません。
アーロンチェアを使ってみて、気になったところ
ヘッドレストがない
アーロンチェアは事務作業用に開発された椅子ということもあり、公式はヘッドレストの必要性を認めていません。このことは、ヘッドレストを必要と感じる多くのユーザーを悩ませてきました。
この欠点を補うため、他社製品として多くのアーロンチェア用ヘッドレストが販売されています。市販のヘッドレストは、他社製品でありながらも公式のものと見紛うほど椅子とマッチしており、使い心地も快適です。
しかし、ヘッドレスト装着の際に本体部分に傷がつくことがあったり、別途2万円前後の値段がする本製品を購入しなければならないことから、アーロンチェアの欠点のひとつと言えるでしょう。
大きさと重さ
アーロンチェアの重厚さは高級感や安心感を演出してくれますが、普通の椅子に比べかなりスペースを取ることも事実です。
狭いワーキングスペースなどでは、アーロンチェアがあるだけでかなり窮屈になってしまうので、注意が必要です。
また、椅子本体の重さは約24kgもあり、持ち運ぶだけでもかなりの重労働を要します。特に女性は、引っ越しや移動の際に一人で持ち運ぶことは不可能と言っても良いでしょう。
アーロンチェアはこんな人におすすめ
長時間デスクワークをする方
アーロンチェアはデスクワーカー向けに設計されていることもあり、長時間同じ姿勢で作業をする方におすすめです。
特に前傾チルトは独特の心地よさがあり、前傾姿勢でも猫背にならないようにサポートしてくれます。
デスクワーカー向けに本製品を導入している企業も多くありますが、筆者のように自宅での作業時間が多い方にもおすすめです。
腰痛にお悩みの方
上述のように、アーロンチェアはポスチャーフィット機能など、背骨を常にサポートしてくれる機能があることから、腰痛にお悩みの方にもおすすめです。
実際に腰痛を解消したいという目的で購入する方も多く、症状が改善されたという報告も多く上がっています。
アーロンチェアの中古について
以前、一度中古のアーロンチェアを購入したことがあります。
状態が良く6万円だったのでお得でしたが、5年ほどでガスシリンダーのガス抜けが発生、またメッシュの伸びとが気になったのと保証もなかったので買い替えました。
使い潰す覚悟があり、状態が良いものであれば中古の選択肢もありでしょう。ただメーカーの12年保証を受けれないので、注意が必要です。
現物を見て購入をおすすめしますが、楽天だと中古のアーロンチェアが多く出品されているので、相場など確認してみてはいかがでしょうか。
まとめ
アーロンチェアは発表から20年以上が経過した現在も高級チェアのトップランナーとして人々から支持を得ています。
その理由は、多岐にわたる機能によって、長時間の作業にもストレスを感じさせないきめ細かな気配りが行き届いているからです。
椅子は、デスクワーカーにとって長い戦いを共にする「戦友」です。
自分ひとりで出来る身近な働き方改革として、アーロンチェアの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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・この記事を書いた人
虚数パン。専業ライターとして、音楽、アート、ガジェット、IT系の記事を多数執筆。Web発の表現を紹介するWebマガジン『SETUZOKU』を運営。